市営住宅でのリフォームは、原則として許可が必要ですが、「少しだけなら大丈夫だろう」と安易に無許可で工事を進めてしまうと、想像以上に深刻な事態を招く可能性があります。無許可工事の危険性と、その末に待ち受ける結末について理解しておくことが重要です。無許可工事の最大の危険性は、まず「契約違反」となることです。市営住宅の賃貸借契約書には、改築や模様替えを禁止する条項がほぼ必ず盛り込まれています。これに違反すると、自治体や住宅供給公社との信頼関係が損なわれ、住居の明け渡しを求められる原因にもなり得ます。次に、「原状回復費用」の全額負担が挙げられます。無許可で設置した設備や変更した内装は、退去時に全て入居時の状態に戻す必要があります。この際にかかる解体費用、撤去費用、処分費用、そして元の状態に戻すための工事費用は、全て入居者側の負担となります。特に、壁や床の張替え、間仕切りの設置など、大がかりな工事を行っていた場合、その費用は数十万円から場合によっては百万円を超えることも珍しくありません。さらに、工事の内容によっては、「建物の安全性や耐久性」を損なう可能性があります。特に、電気工事や給排水工事、構造に関わる工事などを素人が行ったり、無資格の業者が行ったりした場合、火災や水漏れ、建物の歪みなど、重大な事故や損傷を引き起こすリスクがあります。このような事態が発生した場合、入居者は損害賠償責任を負うことになり、非常に高額な費用を請求されることになります。また、工事中の「騒音や振動」で近隣住民とのトラブルに発展する可能性も否定できません。市営住宅は集合住宅であるため、工事音は他の住民の生活に大きな影響を与えます。無許可工事では、事前に告知や配慮がされないため、苦情が寄せられる原因となり、人間関係の悪化にも繋がります。このように、市営住宅での無許可リフォームは、安易な気持ちで行うべきではありません。費用面だけでなく、法的責任や安全面、そして人間関係にまで悪影響を及ぼす可能性があるため、必ず事前に相談し、指示を仰ぐことが賢明です。